備前焼とは

備前焼について

備前焼とは

備前焼は、岡山県備前市を中心に生産されている焼きもので、日本遺産や伝統工芸品としても認定されています。

日本古来から続く六古窯(瀬戸焼・常滑焼・越前焼・信楽焼・丹波立杭焼・備前焼)の一つで、その中で最も歴史が古いとされ、千利休や豊臣秀吉など、数々の偉人に愛されてきました。

備前焼は、約1,200度の高温で7~10日間かけてじっくり焼き締めた硬質の炻器(せっき)に分類されます。

絵付けや施釉を行わず、土そのものを焼成することで生み出される「窯変」(ようへん)の色合いや模様は、一つとして同じものがありません。土の温かさを感じる風合いは、手に優しくなじみます。

焼き色について

窯変(ようへん) 窯変(ようへん)

窯床に置いてある作品が炭に埋もれ、直接炎があたらないことと、空気の流れが悪いことが相まって還元焼成(いぶし焼きの状態)になったために生じる窯変で、ネズミ色・暗灰色・青色等に発色します。

胡麻(ごま) 胡麻(ごま)

松割木の燃料が燃えてできた灰が高い熱により釉化(ガラス化)し焼成中に作品に付着し、胡麻の粒をふりかけたようになっているのが特徴です。作品の多くは灰が多くかかる棚の上に置かれ、降りかかった灰が熱で溶けて流れた状態のものを玉垂れ(たまだれ)といいます。

棧切(さんぎり) 桟切(さんぎり)

松割木の燃料が燃えてできた灰に作品の一部が覆われ、酸素の少ない状態で還元焼成(いぶし焼き)にすることで、還元された箇所が黒色から灰青色などの色の変化が模様に現れる焼成方法です。昔は、窯の内部を桟(さん)で仕切っており、この桟の下で焼かれる作品にこの模様が現れたので桟切(さんぎり)と呼ばれるようになりました。

緋襷(ひだすき) 緋襷(ひだすき)

備前焼の素地に藁(わら)を巻いて焼成することで、素地は薄い茶色、藁があたった箇所は緋色に発色する焼成方法です。藁のカリウムなどの成分と、素地の鉄分などの化学作用によるものです。本来は、作品を重ねて窯詰めをする際に、くっつかないようにするために藁を巻いていたのが始まりです。

青備前(あおびぜん)  青備前(あおびぜん)

白備前(しろびぜん) 近年では、鉄分の少ない土を焼しめることにより、釉薬を使用せずに白備前を焼成することができるようになりましたが、18世紀初頭の江戸時代には岡山藩からの命により、白い土に白や透明の釉薬を使用して高火度で焼成して作られていました。非常に希少であり、古いものは骨董品としても重宝されている焼成方法です。

黒備前(くろびぜん) 成形後に鉄分を多く含んだ土を表面に塗る伊部手(いんべて)と呼ばれる技法を用いて焼成することで、表面の土が溶け出し釉薬のような働きをするため、土に含まれる鉄分の量によって、仕上がりの色の濃さには違いが出ますが紫蘇色から黒の発色になり仕上がった作品はどれも独特の風合いになります。

備前焼の七不思議

1.投げても割れぬ、備前すり鉢
備前焼は、釉薬をかけず、裸のまま、約2週間前後1200度以上の高温で焼き締めるため、強度が他の焼き物に比べると高いレベルにあります。それがゆえに、昔から「投げても割れぬ・・・」と言われるようになりました。

2.冷たいビール、温かいお茶
備前焼は内部が緻密な組織をしているために比熱が大きくなります。そのため保温力が強く、熱しにくく冷めにくくなります。

3.きめ細かな泡で、うまいビール
備前焼には微細な凹凸があり発砲能力が高いことから、泡はきめ細かく泡の寿命が長いことから香りを逃がさないのでより美味しく飲むことができます。

4.長時間おくと、うまい酒に
備前焼の内部に微細な気孔があるため、若干の微細な通気性が生じます。 これにより、酒、ウィスキー、ワインの香りが高くまろやかで、こくのある味に変身を促します。

5.うまい料理が食せる
備前焼は、他の焼き物に比べ表面の小さい凹凸が多いため、食物が皿肌に密着しないので取りやすく、又水分の蒸発力が弱いので乾燥を防ぎます。

6.花瓶の花が長もち
備前焼には微細な気孔と若干の通気性があるため、長時間生きた水の状態が保たれ花が長もちします。

7.使うことで、落ち着いた肌ざわり
備前焼の表面の微細な凹凸が、より使い込むことにより角が段々と取れ、使えば使うほど落ちついた味わいを増します。

備前焼の土

備前焼の原土は伊部周辺の地下にある粘土層で「ひよせ」といいます。採土できる所は極わずかで貴重です。 作品の種類、作家の好みで山土を混ぜて使うこともあります。 ひよせは、粘りが強く耐火度は低く、陶土としては鉄分が多いです。釉薬を使わないだけに、備前焼では土に神経を使います。土づくりは、作家にとって重要な仕事です。

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